上部消化管内視鏡検査
1)上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡) 
上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指し、口から内視鏡を挿入し、これらの部位を一連の検査で観察します。昔から「胃カメラ」といわれてきたものです。
<上部消化管内視鏡検査の受け方>
(1) 事前検査
検査を安全に行うために、全身状態や感染症の有無を把握する目的で、採血、尿検査、心電図検査などを行う場合があります。
(2) 検査の前処置
・ 検査前日の夕食は軽くし、午後9時以降の食事は避けてください。
・身体が苦しくならず、着脱が楽な服装でお出かけください。
(3) 検査当日の手順
・検査前日、当日の飲水制限はしていません。
のどが乾いているときは、自由に水かお茶を飲んでいただいて結構です。
・出血しやすくなる薬(ワーファリン、バファリン、パナルジンなど)は検査前1−7日間内服を止めていただく場合 があります。。それ以外の常備薬(血圧、抗不整脈薬など)は飲んでおいてください。
”薬を飲むべきか止めるべきか”については事前に説明いたしますが、不明な点がありましたらお申し出ください。
・ 前処置室で約100mlの前処置用溶液(水と消泡剤、蛋白分解酵素を含む白い液体で 胃の中をきれいにします)を飲みます。
・ストレッチャーに横たわり、そのまま検査室へ移動します。
ベルトをゆるめ検査台の上で、左側を下にして横向きに寝ます。
・マウスピースを口にくわえます。
・ 鎮静剤を注射(静注または筋注)します。
・ 鎮静剤を希望されない方は、咽頭麻酔(キシロカインビスカスという局所麻酔剤を
3分間舌の奥にためてのどをしびれさせる方法)のみで検査を受けることもできます。
・内視鏡がマウスピースを通して口より挿入され、検査が始まります。
・通常一般検査は3ー10分前後で終了します。
・検査中の苦痛は殆どありません。 
(4) 検査後の行動、注意事項
・検査終了後は内視鏡室となりの回復室でしばらく休んでいただきます。
・ 検査当日はいろいろな薬を使う可能性がありますので、検査後の車の運転は避けてください。
・飲水、食事は指示を受けて(通常検査終了後1時間後より)とってください。
・組織やポリープをとった方は、刺激のある食事、飲酒、コーヒーなどを2ー3日はなるべく避けてください。
・当日の激しい運動はおやめください。またお風呂も長風呂を避け、シャワー程度にするのが無難です。
・最終検査結果報告は後日となりますので、次回外来診察日をご確認ください。
・もし吐き気や強い腹痛が生じた場合には、中谷外科病院(電話:0863-31-2323)
へ至急連絡してください。
<上部消化管内視鏡検査の合併症>
万が一、出血、穿孔などの合併症が生じた場合、入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。
観察(生検を含む)を目的とした上部消化管内視鏡検査での出血、穿孔などの発生頻度は全国集計(2003年から2007年の5年間)で0.005%(2万人に1名の割合)でした。早期癌の内視鏡切除などを含むすべての上部消化管内視鏡検査・治療の偶発症は0.057%(約2千人に1名の割合)でした。
<一般上部消化管内視鏡検査とは>
貧血や腹痛の原因を調べるため、食道・胃・十二指腸に発生した潰瘍、炎症、腫瘍、ポリープなどを診断するために行います。その際、組織検査のため病変の一部を摘みとってくることがあります(生検といいます)。通常外来で問題なく行えます。
<内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)とは>
主に食道や胃の粘膜にできた早期癌に対して内視鏡を用いて切除を行う治療法です。内視鏡で病変を直接観察しながら、特殊なナイフ(TT-knife,
IT-knife etc)を用い、
病変部を含む粘膜層を粘膜下層の深さで切除します。
従来、手術が必要だった早期癌(stage 1a)も、内視鏡的に身体に負担の少ない治療法で根治が可能です。ただし、病変部の形態、拡がり、深さ、またガン細胞の種類によって、適応を厳密に決定していますので、担当医に相談してください。切除後は人工的な潰瘍になりますので、まれに出血や穿孔などを起こす可能性があり、そのために原則として入院して行います。

<経鼻内視鏡について>
鼻の穴からカメラを挿入して、胃の中を観察する経鼻内視鏡は、現在当院では行っておりません。
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